英語に関するかかりつけの医者

私はずいぶん多くの英会話学校を渡り歩きました。しかし初めてこの学校を見学して、オリジナルの教材を見せてもらい、レッスンの進め方の説明を受けたとき、ようやく探し求めていたものと出会えたと確信しました。

この学校は他では見られない、非常に際立った特長を持っています。それは「音声を重視した独自のメソッド」と「徹底した個人指導」のふたつです。ここではまず英語特有の発音と、それを生み出す舌。口・唇の筋肉の動ぎの対応関係について、徹底的に叩き込まれます。次にナチュラル。スピードのナレーションを聴き、そのイントネーション、リズム、息遣いのタイミングにいたるまで完壁にフォローできるようになるまで徹底的に反復練習させられます。先生が納得するまでは、何日かかっても先へ進むことはできません。

なぜこのようなメソッドがとられているのでしょうか?
レッスンを受ける立場から、私なりに考えてみました。

私たちは、耳から音声として聞いた言葉を大脳の「言語野」という領域で意味を解釈し、筋肉の動きをつかさどる「運動野」という領域から舌や日に指示を与えて日常会話を行っています。言葉を瞬時に理解し、話すためには、脳内の言語野や運動野に言葉を処理するプログラムができていなければなりません。脳内の言語処理プログラムは、耳から音声という刺激を繰り返しインプットし、それを繰り返し真似することで自然に形成されるようになっているそうです。幼児のとき日本語を覚ぇたプロセスと同じです。脳内のプログラム、つまリニューロン(神経細胞)のシナプス(結合)は、反復して刺激を与えることで次第強化されると言われています。この学校が、ヒアリングの徹底した反復練習を重視し、それを実効性あるものにするために完全個人指導制を貫いているのは、恐らくこの原理に則っているためではないでしょうか。

この学校のメソッドは一見非常にユニークですが、なぜそうする必要があるのか、それぞれ説得力のある理由が説明されるので、よく考えぬかれているな、という印象を受けます。恐らく相当な試行錯誤のうえ、最終的にこのようなメソッドにたどりついたのではないかと思います。今までの英会話スクールに納得できないものを感じている方は、一度この学校のメソッドの説明を受けてみることをお薦めします。

私にとってこの学校は、いまや英語に関するかかりつけの医者、つまリホームドクターのような欠くことのできない存在になっています。

男性(平成5年10月5日)